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  • 執筆者の写真おかもと まきこ

月ヨガだより №15

秋らしい爽やかな日和が続きますね

今回のテーマは


<感情とのつきあい方>


酔芙蓉(スイフヨウ)をご存知ですか?


朝は純白

太陽を浴びて桃色に染まり

夕方には紅くなって

生命を全うする一日花


酔っぱらって

顔が赤くなる姿に似ていることから

酔芙蓉


と名づけられました


ヨガのお部屋からよく見えるのですが

いま、満開へ向かおうとしています


花言葉の<心変わり>から


<感情>というテーマに

ぴったりだと思いました


<感情>とは

移ろいゆくものでありながら

人を死ぬほど苦しめるパワーを持つ存在


理性が貴ばれる現代

感情が苦手で

感情にフタをして

知性ばかり磨く方が少なくありません

一時期の私がそうでした…


しかし今


わたしたちは

<感情>を実体験として味わうために

人間として

この世に生まれてこなければならなかった


と思うくらい

人生にとって感情とは

大きな意味と目的がある

と気づきました


<感情>に深く向き合うことは

プライベート・ヨガセラピーの大切なプロセス


「見られるものは、

まさしくその本質からして、

見る者の目的のためだけに存在する」

          ヨーガ・スートラ 2章21節


「見られるもの」とは

この肉体や物質世界(現象)すべて

移り変わって変化する幻のような存在

いつかは消滅するもの


「見る者」とは

永遠で変わらない存在

魂(プルシャ)

無限の意識

真我


つまり肉体や世界は

魂に経験や気づきを与える

その目的のためだけに生じた


というニュアンスになります


少し難しいですが

この「見られるもの」には

物質的なものだけでなく

私たちが<心>と呼ぶ

思考や感情などの心理作用も

含まれるところが<ミソ>です


すなわち

感情も「見る者=魂」に経験を与えるため

気づきを与えるという目的のために

存在しているということ


喜び、悲しみ、怒り

不安、焦り、嫉妬、憎しみ

寂しさ、疎外感、孤独感


わたしたちは生きている限り

さまざまな感情に翻弄され

感情に苦しみ

心に痛みを感じます


こうした感情は

無意味なものではなく

かといって永遠に実在するものでもなく

私たちの魂が感情を通して

かけがえのない経験や気づきを得て

束縛から解放されていくために

存在しているのです


あなたは

心の中になんらかの感情が生まれたとき

どんな風に対処しますか


感情が芽生えたばかり

あいまいで言葉にできないようなとき

もやもやした状態のとき

その存在に

気づいていますか


ヨガセラピーの第一段階は肉体

呼吸法とアーサナ(緊張と弛緩)によって

まずは身体への客観視力を身につけていきますが

次のステップは心

自分の心のうちにある<感情>に

向き合っていきます


感情に気づけない

なんかイライラ、モヤモヤするけれど

どんな感情なのかよく分からないまま

フタをして

気づかぬふりをして過ごす


特に否定的な感情が生じたとき

こんな対応をとってしまう方が

少なくありません


日本人の場合

感情をストレートに表に出すことを

美徳としない文化があり


また

否定的感情に対して

「よくないもの」という決めつけが先行し

否定的感情を抱くことそのものを

否定するような風潮があります


そんな価値観で育ったわたしたちは

必然的に

自分の心に芽生えた否定的な感情を


抑圧する

回避する

なかったことにする


そんな心の癖(心的防衛)が

身についてしまいがちです


もちろん

感情の赴くままに

他者を言葉で攻撃したり暴力をふるったり

否定的感情のエネルギーを行動化させて

他者を傷つけることは

あってはならないことですが


否定的感情を抑圧し

<なかったこと>にしてしまうのは

自分自身を危険にさらす場合があります


気づいてもらえないまま

無意識の底にしずんだ感情は

消化されることなく存在し続け

思わぬ瞬間に浮かんだり消えたり

予想外の自己主張を始めます


無意識の領域で肥大化した感情は

コントロール不能のモンスター


やがて感情のエネルギーが

本人が無自覚なまま自律神経を緊張させ

交感神経優位が常態化して

生体恒常性のバランスを崩し

さまざまな心身症状を生み出すこともあります


器質的要因が特定されない心身の不調

気分の変調

さまざまな心身症


その根源に

抑圧された感情が

潜んでいる場合もあります


ヨガセラピーでは

こうした感情の存在に

まず<気づく>ことをめざします


目を閉じて

心の内面をあるがままに眺めて

お天気を眺めるように

空を眺めるように

流れる雲を眺めるように

映画のスクリーンを眺めるように


解釈や価値判断はせず

ただ浮かんできたものをそのまま味わう


というプロセスを繰り返します


不快な場面が浮かんでも

イライラした感情でも

感じたくない気持ちでも


否定も肯定もせず

ただあるがままに眺め

味わって

雲が流れていくように手放していく


感情は受容されることで

自然に消え去っていく



この心観瞑想(マインドフルネス瞑想)によって

無意識の底に埋もれていた

さまざまな記憶、感情に

自分で気づいていきます


セラピストはそのプロセスを

温かく見守ることに徹します


勇気づけの言葉を伝え続けながら


感情をこわがらなくていい

どんな苦しい感情も過ぎ去っていく

花の色のように心の色も移り変わっていく

一瞬たりとも同じ景色ではないこの空のように

土砂降りでもいつか晴れるお天気のように

厚い雲が切れて太陽の光が差しこむように

どんな嵐も耐え抜けば過ぎ去るように…


感情とは

変化してやまない<幻>のようなもの


感情の存在に気づき

もう一人の自分がその感情を観察するように

ただあるがままに眺め味わっていると

やがて感情は消化され

過ぎ去っていく


<感情とのつきあい方>


整理すると

主に四つに分けられると思います


一つ目は最もまずいつきあい方


心の内に芽生えた感情に気づかないまま

感情をストレートに他者へ向け

行動化(言葉や物理的暴力)して

他者を傷つけてしまう


二つ目は


心のうちに芽生えた感情に気づかないまま

感じてあげることをしないまま

抑圧したり回避して

無意識の領域に押し込めてしまう


このやり方も

一つ目と同じくらい

望ましくない方法です

未消化な感情が

他者ではなく自分自身を攻撃してきます


そして三つ目は


心のうちに芽生えた感情に気づき

もう一人の自分が自分を観察するように

あるがままに感じ、味わってあげながら

受容しながら、しがみつかず

手放していく


ヨガや瞑想で自己客観視力が高まると

このやり方を自然にできるようになっていきます


そして四つ目

ヨガがめざすゴールともいえる方法

最も望ましい感情とのつきあい方

私自身も努力中


感情を手がかりに

自分の認知を変容していきます


感情を生み出す素になっている

自分特有の<心のとらえ方>を探し出して

執着やこだわりのポイントを見つけ

自分が築いていた<心の枷(かせ)>を手放し

瞑想によって

束縛からの解放をめざしていきます


感情というエネルギーを

自分の魂の成長に使っていくのです


この四つ目のプロセスが進むと

心のとらえ方に深みが出て

善悪、愛着と嫌悪、損得などの

二極対立の価値観を超えて


大らかさ、豊かさ、愛、

調和、安らぎ、静けさ


そして何ものにも乱されない本当の強さへ

その人らしい完全性が花開いてゆきます


そんな意識状態に近づくと

まるで長い眠りから目覚めたように


地球という星に、この時代に

この生命を与えられた意味

この小さな人生で

一瞬のきらめきを通して

自分の生命を通して果たすべき役割とは何か


そんなことに思いを馳せるようになっていきます

<自己の探究>のはじまり


本当の人生は

ここからが始まり


最後まで読んでくださり

ありがとうございました


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