桃源郷と幻の秘薬
- おかもと まきこ

- 2月20日
- 読了時間: 4分

フンザをご存知ですか?
小さな裏庭や身近な自然の中に広大な宇宙の神秘を発見した私は、遠くへ行きたいという気持ちがうすく、海外旅行にまったく関心がなかったのですが、もし、機会があったら訪れてみたい場所を見つけました。それが、フンザ。
ハーブの会の前田潤さんに「フンザ」の話を教えてもらってから、すっかり魅了されてしまいました。
パキスタン北西部、7000メートル級の山々に囲まれた小さな谷、カリマバードを中心とした領域をさして、フンザと呼びます。北は中国、西はアフガニスタンと国境を接する文化の交差点に、フンザ族と呼ばれる人々が住み、1970年代までこの地は王国でした。高い峰々には冬は雪がふり、春は花が咲き乱れ、夏の緑から秋の紅葉。豊かな四季に恵まれたフンザは、「桃源郷」とも謳われてきました。
潤さんによると、長寿の里としても名高く、フンザの人々には癌がないことで有名。隣接した周りの地域では、癌の発症率が他の世界中の地域と大差ないにもかかわらず、フンザの人々だけは癌にかからない。この理由については、早くから西洋の学者らが注目し、諸説紛々だそうですが、「フンザの人々は穀物を食し、穀物が摂れない数カ月の間は、杏の仁(じん)を食す」。
これが、フンザの人々を癌から遠ざけている最も大きな要因ではないか。と潤さんは考えています。
杏の仁(じん)とは、杏のタネのこと。杏仁豆腐の原料です。
杏の仁の薬効について、潤さんは「ネコヘルペスⅠ型ウイルスに効果を発揮する」と指摘し、「ミトコンドリアをこわし、機能を低下させるネコヘルペスⅠ型ウイルスは、多くの癌の発症にかかわっているので、このウイルスに薬効を発揮する杏の仁をフンザの人々が伝統的に一年のある時期、数カ月にわたって食す習慣を持っていることが、癌の予防に役立っているのではないか」と推測しています。
癌とミトコンドリアの関係については、筑波大学の林純一教授がマウスの実験で研究されており、インターネットで研究内容が公開されています。
潤さんは、公開されている林教授の研究を調べるなかで、実験に使われたミトマウスの画像を見て、ミトコンドリア病になっているマウスがネコヘルペスⅠ型ウイルスに感染していることに気づきました。
潤さんの考察は第3章のⅠ「がんとウイルス」で詳しく紹介していますが、ミトコンドリアとはエネルギーをつくる重要な細胞で、ミトコンドリアが正常に働かなくなることで、疲れやすくなったり、免疫が低下したりします。ミトコンドリアが弱った状態で、さまざまな癌ウイルスに感染することによって、本格的な癌の発症へとつながってゆくのではないかと推測されるのです。逆に、ミトコンドリアが元気になると、癌からの回復が期待できるのではないでしょうか。
生命エネルギーの根源ともいえる、ミトコンドリア。この生命線をこわしてしまうネコヘルペスⅠ型ウイルス。このウイルスの特効薬ともいえる、杏の仁。
おもしろいのは、ここからです。
潤さんによると、杏の仁と同じ薬効を持つものが、ほかにもあるのです。
まずは、クミスクチン。沖縄三大薬草のひとつ。
びわのタネ。長崎では、びわのタネが癌に効くという伝説があります(ただし、びわのタネには毒素もふくまれているので、食すには特殊な処理が必要)。
冬虫夏草。
竹の葉。
里芋、田芋。
これらはすべて、ネコヘルペスⅠ型に効果を発揮するそうです。
冬虫夏草といえば、中国では古くから不老不死、強精強壮の秘薬として重宝されてきました。
里芋や田芋は日本で、昔から正月や伝統行事等の際に食され、大切にされてきた食材です。
古来から、世界中の人々は、なぜかネコヘルペスⅠ型ウイルスに抵抗力のある食材を「くすり」として選び、大切に重宝してきた。
この不思議さに感銘をうけませんか?
「温故知新」というコトバがありますね。
その由来は、中国の「論語」にある「故(ふる)きを温(たず)ね、新しきを知る」というくだり。過去から学び、そこから未来につながる新しい智慧を得てゆく。
そう、この本はまさに温故知新の試みです。
桃源郷と謳われた長寿の里、フンザ。
その自然の美しさ、大地の恵みと慈愛につつまれるフンザの人々は、温かく旅人をもてなすやさしさでも知られています。
あなたも機会に恵まれたら、ぜひフンザを訪ねてみてくださいね。



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