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  • 執筆者の写真おかもと まきこ

結果の放棄 〜月ヨガだより№7



今回は、

行為の結果に対する思いを放棄する

<結果の放棄>という

ヨガの教えの真髄について

お伝えしたいと思います。


凛々しさ 

芯の強さ

乱されない心


私が初めて出会ったヨガの先生

彼女の独特の雰囲気に

強く魅かれたことを覚えています。

この未知の雰囲気に魅せられて

ヨガの世界へ入ったと言っても

過言ではありません。


「結果の放棄」という言葉は

彼女に教えてもらいました。

そのときは全く意味が分からず。


その意味を理解したのは

古代インドのヨガの聖典を深く学ぶようになってからです。


「あなたの職務は、行為そのものにある

決してその結果にはない

行為の結果を動機としてはいけない

また、無為に執着してはならない」

          2章47節

「アルジュナよ

執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て

諸々の行為をせよ」

          2章48節

「結果を求めない者は

調和(シャンティ)の境地に達する

しかし、専心しない者は

欲望につき動かされて、結果に束縛される」

          5章12節


これらの経句は

古代インドの大叙事詩マハーバーラタの一場面

王家を二分する大戦争を前にして

戦意を失って心乱す将軍アルジュナに

神の化身クリシュナが語ったとされる

<神の詩>。


クリシュナが勇者アルジュナを励ました

珠玉の言葉をまとめたのが

「バガヴァッド・ギーター」です。

世界ではキリスト教の聖書の次に

読者が多いとも言われる書とも言われます。


その説くところは

人間が行為をするうえでの<働きの秘訣>。


何か行動を起こすときに

自分にとっての成功や不成功、損得、勝敗など

二極対立の価値観に囚われ

結果に執着することこそが

あなたの心を乱し、束縛し、苦しみを生む。

だからあなたは

為すべきことに集中し、努力を尽くし

その結果は放棄して

天にゆだねよ。

自分のために行為をするのではなく

すべての生命のために

無私の行為を天へ捧げよ。


という趣旨。

日本の諺でいえば

<人事を尽くして天命を待つ>

に近いかもしれません。


オリンピックが近いですが

アスリートがここ一番という場面で

最高のパフォーマンスをする精神力。

これも<結果の放棄>によって生まれます。


トップアスリートが神がかり的なプレーをしたとき

<ゾーンに入る>と言われたりしますが

結果へのこだわりやプレッシャーなど

全ての想念をシャットアウトし

<今、この瞬間に>没頭する驚異的な集中状態。


それを求めて

メンタルトレーニングとして

ヨガや瞑想に取り組む選手が増えています。


スポーツに限らず

混沌とした現代社会を生きる上で

大きな迷いが生じたとき

ギーターには

進むべき道を照らしてくれる智慧の言葉が散りばめられており

インドのガンジー元首相の愛読書でもありました。


ますます社会が混迷を深める今

人はどう生きたらよいか

答えを見出せぬまま

欲望(金銭への執着)に突き動かされる人のあまりの多さ

富や名声を得たら得たで

今度はいつまで維持できるか?

不安と苦しみは続きます。

世俗的な幸せというものは

その肩に、必ず不幸もしょって

あなたを訪れます。


世間という複雑で強力な機械に巻き込まれて


さんざんさまよって苦しんできた

もうたくさんだ

欲望に引きずられる生き方をやめたい


というあなた。

ギーターの智慧によって心をクリアにし

<本来の自分>と自己一致した生き方を探す航海へ

旅立ちませんか。


さまざまな解釈本がありますが

日本人にお勧めなのは

<科学で解くバガヴァッド・ギーター>(たま出版)。

米国で物理化学の科学者として活躍しながら

IBM社を辞めて母国インドへ戻り

ヨーガ修行者となった男性の著書です。

シンプルな訳書がよければ

<上村勝彦訳 バガヴァッド・ギーター>(岩波文庫)もお勧めです。


そして、<凛々しさ>。


その不思議な輝きの秘密は

<行為の結果>を放棄している人の清々しさです。

自分らしく、他者や生命へ貢献しようと懸命に努力する

我欲を手放した潔さ。

そんな魅力的なヨギーニたちがいます。

ヨガの世界だけでなく

他の分野でも道を究めた人に共通する輝き。

闇夜をほのかに照らす美しい炎のように。


「私が」「私の」という小さな思いを捨て

成功や不成功に囚われない<平等の境地>に立つ。

そんな強さ、やさしさ、豊かさをめざして

私自身、自分の心に深く向き合う日々です。


最後まで読んでくださり、心から感謝します。

どうかこの投稿が、

だれかを勇気づけてくれますように…

        <月ヨガだより №7>


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