その先の、向こうへ
今回のテーマは、涙
あなたが最後に涙を流したのは
いつのことですか?
涙があふれた瞬間の
心の感覚、状態
どんな感じだったか
思い出せるでしょうか…
悲しかった、つらかった
という言葉の記憶ではなく
そのときの匂い、光景、味のような
<感覚的記憶>で再現できたら
忙しさの中でよどんだ心が
森の湧き水のように
静かに流れ出すのを感じませんか
…………………………
この春
ヨガセラピーを通して
なんてたくさんの方々の涙を
みたことでしょう
瞳がふともりあがって
透明な水があふれだす瞬間
ほおを伝って流れゆくあたたかいもの
そのとき
<言葉>は止まります
思考のかわりに
心全体がいきおいよく動き出します
凍土のように氷っていた心が
生命の流れを取り戻し
固い物が溶け去ってゆく瞬間
言葉の代わりに
クライアントさんの瞳にたたえられた光が
言葉を超えたもっと深いものを
伝えてくれます
…………………………
小さい頃に大好きだった北欧の童話
<雪の女王>は
涙の意味と力を感じさせてくれます
あるところに
カイという少年とゲルダという少女がいました
2人はとても仲良しでした
ある日
悪魔の作った鏡の破片が
カイの眼と心臓に刺さり
彼の性格は一変してしまいます
雪のある日
一人でソリ遊びをしていたカイの前に
どこからか雪の女王が現れ
魅入るようにしてカイを連れ去ってしまいます
春になると
ゲルダはカイを探し始め、旅を続けます
魔女の家で魔法をかけられ
カイのことを忘れさせられますが
薔薇の花によって記憶を取り戻し
再び旅へ
さまざまな試練がゲルダに
カイを探す旅をあきらめさせようとしますが
ゲルダはあきらめず
カイを探し続けます
そしてゲルダはとうとう
雪の女王の宮殿にたどりつきました
カイを見つけたゲルダは涙を流して喜び
その涙が
カイの心に突き刺さった鏡の破片を溶かします
少年カイは
元のやさしさあふれる心を取り戻し
2人は手をとりあって故郷へ
…………………………
ゲルダの涙が溶かした<破片>とは
何だったのでしょうか
アンデルセンの童話は
深い心理的洞察を含むと言われますが
この破片とは
わたしたちの本質=魂(プルシャ)が持つ
調和や安らかさをおおいつくすヴェールのようなもの
思考や感情の波=心のはたらき
ヨガ哲学で<幻妄 マーヤー>
と呼ばれるものではないかと思いました
知識や顕在意識ばかり突出して
この世とふれあっていると
善悪、損得、勝敗、美醜など
二極対立の価値観に囚われて
だれもが本来持っている
安らかさ、やさしさがおおいかくされて
生命本来の全体性<純粋意識>から
遠のいていってしまいます
ヨガセラピーで
心のはたらきを静めてゆくと
調和、至福、慈愛、静けさ、
安らかさに満ちたわたしたち本来の姿が
あらわれてきますが
セラピー中に
クライアントさんの瞳に涙があふれだすと
心が一気に全体性を取り戻して
何かを溶け去ってゆく
魔法のような瞬間があります
不思議ですね
涙が何度もほおを伝ったあと
クライアントさんの瞳は
透明な光をたたえはじめます
その人らしさに満ちた輝き
涙が重たいものを流し去って
<その先の、向こうへ>
最後まで読んでくださり
ありがとうございました
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