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執筆者の写真おかもと まきこ

羽生選手が見せてくれたもの


生きることは挑戦


〜羽生結弦選手が見せてくれたもの


メダルという結果に執着せず

限界を超えようと

勇敢に挑戦しつづけることの意味


彼がオリンピックを通して世界に伝えたのは


<生きることは挑戦>


というメッセージでした


先日のプライベート・ヨガセラピーで

ヨガがめざす心の状態

<サットヴァ(純質)>

をテーマにしたところ

羽生結弦選手に話題が飛びました


サットヴァとは

喜び、やさしさ、慈愛

調和、静けさ、寂静

自由、解放

智慧、思慮深さ、静かな集中力


利己心や執着を手放して

自分だけの勝利や得ではなく

欲望を超えて

他者の幸せも喜べるような透明な心をめざすと

こうしたサットヴァな質を高めていけます


と話したところ

<あ、これ、羽生君のことですね?>

とクライアントさんの瞳が輝きました


オリンピック二連覇の王者が

転倒するリスクを恐れず

勇敢に、凛々しく

限界を超える挑戦をつらぬいた


彼はメダルという結果そのものへの執着よりも

挑戦し続けるという

<あり方(being)>を貫くことを

優先しました


演技を終えた後の彼の姿に


やり抜いた<清々しさ(すがすがしさ)>を感じたのは

私だけでしょうか


…………………………


羽生選手の姿に

<結果の放棄>というヨガ哲学の真髄

バガヴァッド・ギーター<神の詩>

の教えが重なりました



「苦楽、得失、勝敗を平等(同一)のものと見て

戦いに専心せよ」

    2章38節



「あなたの職務は、行為そのものにある

決してその結果にはない

行為の結果を動機としてはいけない

また、無為に執着してはならない」

   2章47節


「アルジュナよ

執着を捨て、成功と不成功を平等(同一)のものと見て

諸々の行為をせよ」

    2章48節


「結果を求めない者は

調和(シャンティ)の境地に達する

しかし、専心しない者は

欲望につき動かされて、結果に束縛される」

 5章12節


これらの経句は

古代インドの大叙事詩マハーバーラタの一場面

王家を二分する大戦争を前にして

戦意を失って心乱す将軍アルジュナに

神の化身クリシュナが語ったとされる

<神の詩>


クリシュナが勇者アルジュナを勇気づけた

珠玉の言葉をまとめたのが

「バガヴァッド・ギーター」です


その説くところは

人間が行為をするうえでの<働きの秘訣>


何か行動を起こすときに

自分にとっての成功や不成功、損得、勝敗など

二極対立の価値観に囚われ

結果に執着することこそが

あなたの心を乱し、束縛し、苦しみを生む


だからあなたは

為すべきことに集中し、努力を尽くし

二極を超えよ


その結果は放棄して

天にゆだねよ


という趣旨


分かりやすく言い換えると


欲望を手放して

しかも挑戦しつづける人生を生きろ

勇敢に力強く、自分らしく生き抜け


という神から人間への勇気づけ


…………………………


このクリシュナ神の勇気づけと同じものを

羽生選手の演技に感じました


14日に行われた記者会見での彼の発言



絶対に思いっきり跳んで

思いっきり高いアクセルで

思いっきり速くしめて

ということを追求しました

その結果として

僕の中ではある意味、納得しています

満足した4回転半だと思っています



挑戦

別に僕だけが特別だと思ってなくて

みんな生活の中で

何かしら挑戦しているのだと思います

それが大きなことだったり

目に見えることだったり

報道されることだったり

それだけの違いだと僕は思っていて

それが生きるということだと

僕は思います


僕も挑戦を大事にしてここまで来ましたけれども

みなさんもちょっとでもいいから

羽生結弦はこんなに褒めてもらっているけど

自分は挑戦していたんだなとか

自分のことを認められるきっかけになっていたら

嬉しいなって僕は思います


いろんな気持ちの中で最近

フィギアスケートというものと向き合ってますけど

東日本大震災の時に感じましたけど

何かをきっかけにしてみんなが一つになる

ということが

どれだけ素晴らしいことかを

震災から学んだ気がしていて

僕の演技で

みなさんの心が少しでも一つになるきっかけになっていたら

僕は幸せ者だなと思いますし

それが震災とか災害じゃなくて

もっと健康的に、何かを犠牲にすることのない幸せの方向の

きっかけだったらとてもうれしいなと思う。

みなさんも自分を応援することで幸せになっていただけたらうれしい


…………………………


いかがですか?

彼はアスリートとして超一流ですが

3度目のオリンピックでは

アスリートを超えて


人類の進化した精神性のあり方

挑戦することの意味

生きる勇気を


人々の心に刻みつけてくれました

あっぱれです


…………………………


最後にもう一言


彼の記者会見での発言から


9歳の自分と一緒に(4Aを)跳んだ

今回のアクセルはなんか褒めてもらえたんですよね

一緒に跳んだというか


最後に壁の上で手を伸ばしていたのは

9歳の俺自身だった



孤高の王者が最後に見つめていたのは

メダルでも

周囲の期待や重圧でもなく


自分自身だったんですね

その深い自分の望みに素直にしたがって

最後まで挑戦しきった戦いぶりは

私自身が学んだヨガの教えの真髄そのものでした


羽生選手へ

心から、ありがとうございました



◇参考文献

<科学で解くバガヴァッド・ギーター>(たま出版)

<上村勝彦訳 バガヴァッド・ギーター>(岩波文庫)

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