top of page
検索
  • 執筆者の写真おかもと まきこ

月ヨガだより №32


PTSDからPTGへ

〜深い心の傷から人は成長できる



身体はトラウマを記録する

 〜脳・心・体のつながりと回復のための手法

 ベッセル・ヴァン・デア・コーク著


ポリヴェーガル理論入門

 〜心身に変革をおこす「安全」と「絆」

 〜ステファン・W・ポージェス著



ふだん

自分の肉体の感覚に

どれくらい意識を向けていますか?


つい体の生理的反応や感覚を感じても

がまんして、そのまま忘れて

後回しにしてしまいがちですよね


わたしたちは小さい頃から

感覚や気分を無視して

決められたことをさっさと行うよう

訓練されてきたので

自分を置き去りにして周囲に過剰適応する

そんな癖・パターンが

染みついてしまっています


でも体のメッセージを無視し続けることは

私たちに大きなダメージを与えることが

心身医学や神経科学等によって明らかになってきました


…………………………


PTSD(心的外傷後ストレス障害)の専門家たちは

深刻な傷つき体験が

肉体にさまざまな自律神経症状などを刻印すること


それらの症状は本人の自覚とは無関係の

無意識下で生じた過去の防衛反応によって

自律神経に何らかの不調が引き起こされ

その後も同様の反応が

本人の知的なコントロールを超えて繰り返されていること


この状態から回復するためには

身体へのアプローチが有効であることを

臨床的に発見しました



PTSDの中核症状は3つ


再体験(フラッシュバック・悪夢など)

回避・麻痺(つらい記憶などからの回避、感覚の麻痺)

過覚醒(過敏、緊張、集中困難、睡眠障害など)


最近は複雑性PTSDといって

特別なトラウマ体験がなくても

心の傷が折り重なって

PTSD様の反応が生じるケースが注目され


うつ病や双極性障害、不安障害などの精神疾患

依存症や過食、発達障害

などと診断され

通常の薬物療法などによって治りにくい方々の中に

複雑性PTSDの方が多いと指摘されています


…………………………


これはわたしの個人的な印象ですが

一般的な方々のなかにも


ある特定の場面で無意識に動悸・発汗してしまう

緊張しなくていい場面でも体の力が抜けない

同じパターンで頭痛や首・肩こり、腰痛を繰り返す

気がかりなことがあると下痢や便秘を繰り返す

声が出にくくなったり、めまいが起きたりする


そんな方が意外に多いのです


苦手な人や場面によって惹起される特有の身体症状がある

という点で共通しています


精神科領域では「スペクトラム(連続体)」という概念が

定着しつつありますが

複雑性PTSDもスペクトラムかもしれませんね

スペクトラムとは

現象・症状などがあいまいな境界をもちながら

連続していること


シンプルに言うと

一般の方と診断を受けた方との間に

明確な断絶はなく

つながりを持っているということでしょうか


心と体は

まるで精妙に調律された楽器のように

つながっています


この複雑で苦しみがひしめく世界では

だれもが無意識下の自律神経反応による不調を抱えながら

懸命に生きているのではないでしょうか


ヨガセラピーは科学的な呼吸法とアーサナによって

肉体を深いリラクゼーションへと導き

自律神経に刻まれた防衛反応からの

解放と回復をめざします


ヨガセラピーの目標は

ポスト・トラウマティック・グロース

心的外傷後成長


この世界には

過酷な状況や大きな困難をとおして

すばらしく成長していく方々がいます


深い傷から人を成長させるものはなんでしょうか


悲しい出来事、現実を変えることはできませんが

長い時間の果てに、深い悲しみの向こう側に


<この出来事も、人生にとって深い意味があった>

と思えるようになったとき


与えられた生命に、周りのすべての生命たちに

深い感謝と慈しみの気持ちが湧いたとき


一生に一度の<変容>が

あなたをおとずれます


最後まで読んでくださり

ありがとうございました

閲覧数:33回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page