
あなたを無力にするささやきへの対処法
〜ふたたび、むなしさにおちいらないように
やっぱり、自分はだめなんだ
というささやきに苦しむあなたへ
そのささやきにどうか負けないで
自分を見失わないで
そんな思いを込めて
このメッセージをあなたのために書きました
ものごとが表面的にうまくいっているとき
私たちは喜んだり有頂天になったりするのですが
困難な出来事にぶつかったとき
努力しても周囲に認めてもらえなかったとき
期待通りの結果が得られなかったとき
私たちは心乱されて
さまざまな感情や思考がぐるぐると生みだされ
やがて
やっぱり、私はだめなんだ
というささやきにたどりつきます
自分自身の心の内側から聴こえてくる
このささやきほど
わたしたちを無力にするものはありません
他人が発する言葉よりも何よりも
私たちを苦しめ
心を萎えさせるものの正体は
自分で自分を否定する声
自分を信じられなくなった心は
疑い、恐れ、絶望感にいろどられ
<むなしさ>一色に染まってゆきます
この<むなしさ>こそ
人の希望を打ち砕き
人類の精神的進化をさまたげる元凶だと思います
…………………………
ヨガは<心の科学>といわれ
呼吸法、アーサナ、瞑想によって
自分自身の心に向き合っていきますが
自己客観視力が深まってくると
最後にいきつくのが
<自分自身との戦い>
自分で自分を否定する声
自分で自分を追い込む声
自分で自分を束縛する声
そんな心の働きに巻き込まれないようにする智慧を
知識ではなく体験として
呼吸を通して自律神経を操作しながら
心の無意識の領域や、肉体にも働きかけながら
獲得していきます
この危険なささやきへの有効な対処法
ひとつめは
心のつぶやきを観察する客観視
お天気や空をながめるように
流れる雲をながめるように
ただあるがままにながめ、深追いせずに
手放していきます
ラジオを<聞き流す>イメージ
勝手にしゃべり続ける思考に巻き込まれることなく
ああ、またなんか言ってるな…
くらいに聞き流してしまうのです
この観察に慣れてくると
ラジオの音声はだんだん小さくなって
気づかないほどに
あなたが無力化されるのではなく
ささやきを無力化するのです
さらにもう一つ有効な対処法は
瞑想によって自分の本質、本源とのつながりを強化すること
<調和、安らぎ、至福>という私たちの本質にアクセスし
本質への信頼(シュラッダー)を取り戻してゆくことで
自己否定の声はかき消され
小さな蚊(カ)が飛んでいるくらいに無力化できます
夜明けの瞑想では
暗い夜空に明けの明星が輝いています
やがて太陽が昇ってくると
燦然と輝く太陽の光に
小さな星の光が少しづつのみこまれてゆく瞬間に
出逢います
私たちの本質とは
明滅する小さな光ではなく
恒星のように燦然と輝いているので
このまばゆい輝きで心を満たすと
自己否定という幻は自然に溶け去ってゆきます
瞑想の習慣化によって
だれもがそんな状態に近づいてゆけます
この二つの方法
日常生活を通して、ぜひ試してみてください
注意してほしいのは
<知識>だけの理解は妨げになるということ
体感を伴わない知識の先取りは
回り道になるでしょう
呼吸法や肉体を使って
瞑想状態になることが大切です
どうか知性(顕在意識)を過大評価しないように…
…………………………
<心>というのは本来
私たちが調和的に生きていくための<道具>に過ぎないのですが
脳の進化の過程で
知性という顕在意識の領域ばかり肥大化した現代人は
道具である心が暴走した状態です
暴走した心は外の世界の調和を破壊し
内側の心の調和も破壊し
ついにはすべてを破壊するほどの力を
手にしてしまいました
道具によって主体が使われる危機
道具の暴走で主体がむしばまれる逆転
それは
ターミネーターなどのSF映画に象徴されるAIの暴走への恐怖
一部の細胞がその役割を超えて異常発達し主体をむしばむ癌細胞
などによって表象され
人類へ警告と方向転換を促しています
なんだか、道を間違えているようだ
という直観を
今や世界中の誰もが共有しているにもかかわらず
この困難を
知性という顕在意識で乗り超えようとするところに
矛盾、限界があります
共感性、全体性、調和という
利己心を超えた領域にこそ
私たちの自由や幸せは存在しているのですが
顕在意識は残念ながら
個体の存続というミッションを優先に働く性質が色濃いので
二極対立の価値観(勝敗、損得、善悪、好嫌など)の影響を受けやすく
利己心(エゴ、イド)という本能に支配されやすく
結果的に不調和を招きやすいのです
ヨガや瞑想は
科学的な呼吸法によって
心を退行させてゆくことで
暴走気味の顕在意識の力を弱め
二極対立の価値観や利己心を超えた
全体性の観点からものごとを眺められるように
調和的に行動できる可能性に
人類の脳を開き、進化させてゆく行法です
二元対立の西洋的な智を超えて
全体性の東洋的な智が
今こそ求められている時代はありません
…………………………
最後に
5000年以上前の古代インド
マハーバーラタという凄惨な戦いがありました
そのとき
神の化身とされるクリシュナが語った言葉をあなたへ
神の最後のつぶやき
と言われる珠玉の言葉です
<戦争は外にあるのではなく
君の内にあるのだ
自我を助長する状況に屈するな
この戦争は君のためのものではない
文明的な人間行為のためのものだ
重要なのは戦いの勝ち負けではなく
敵を殺して領土を獲得することでもない
ダルマ(共感にもとづく秩序>を確立することを通じて
魂を発見することこそが重要なのだ
人間にその本性である慈悲を思い出させ
自我から離れて魂へと向かう道を
人間の知性に示して見せるためにここにいるのだ
人間が目的を見失い
虚しさを感じ
恐れおののき
自我に屈するたびに
必ず私は物事を正すために降臨する
過去でもそうしたし、未来でもそうするだろう
私は何度でも訪れ続けるだろう>
バガヴァッド・ギーター<神の詩>より
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