春は変化と別れの季節ですね
心の眼を開くと
あなたの周りでも
静かな変化の足音、聞こえてきませんか
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エントロピー増大の法則をご存知ですか?
宇宙の万物は、自然のまま放っておくと
乱雑、無秩序、ばらばら、混沌とした方向へ向かい
外から故意に仕事を加えてやらない限り
自発的に元に戻ることはない
という法則
今朝の瞑想で
ふと、この言葉が浮かびました
ヨガセラピストという仕事柄
多くのクライアントさまの人生と関わらせていただき
いま、この春という季節に
たくさんの人の心の内に
静かな<地殻変動>が起きつつある変化を
肌で感じます
うしろを振り向かず
前へ進むことをうながされる<変化の足音>に
強いエネルギーの流れのようなものを
感じませんか?
今回のテーマは
わたしたちの人生に繰り返しおとずれる
変化の荒波にどう向き合っていくか
ヨガ的視点から考えてみました
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エントロピーという言葉は
エネルギーを意味する<en>と
変化を意味するギリシャ語<tropy>の合成語
もともとエネルギーの変化を表す言葉なんですね
エントロピー増大の法則を提唱したのは
ドイツの理論物理学者クラウジウス
もともとは熱力学の概念でしたが
今や
物理学の分野にとどまらず
情報理論や経済学、社会科学などにも応用されています
ひとの思考や感情などにもあてはまるそうです
万物流転(ばんぶつるてん)という仏教の教え
諸行無常(万物で変わらないものはない)
という平家物語の有名な冒頭句
変化こそ、常なるものなり
これらの真理は
エントロピー増大の法則に通じます
わたしたちの人生は、変化の連続
さまざまな波が起こってきます
苦労して、いしずえを築き
安定を作ったぞ!と思ったのも束の間
予想外の変化が起きて土台が崩れる…
そんなことの繰り返しですよね
そんな変化の波がきたとき
あなたなら、どうしますか?
波に抵抗してしがみつくか
波に無力に流されてゆくのか
それとも、波を受けいれ、上手に波にのろうとするか
<変化>というエネルギーの本質に
まっこうから逆らい続ける人生を送ると
苦しみを生み
それでもあらがい続けると
圧倒的なエネルギーに
心身がむしばまれてしまいます
ヨガは、現象という衣装をつけて訪れる
変化のエネルギーの波を
いったん受け入れ、受容・応諾して
その波にのることをめざす行法(メソッド)です
サーファーは、波と一体になることで
恐れずに高波にのります
鳥たちは、空と一体になることで
大空を力強く飛翔します
変化への抵抗という執着を手放し
自分の思い通りに動かしたいという思いを手放し
エネルギーの波を信頼して、ゆだねて
しかも自分の為すべきことをしながら
<今、この瞬間>に生きる
それが、ヨガです
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「見られるものは
光(サットヴァ)、活動(ラジャス)、不活発(タマス)
という質で作られ
元素と感覚器官で構成される
これは、経験と解脱を目的に存在する」
ヨーガ・スートラ 2章18節
<見られるもの>とは世界
変化してやまない現象界のこと
この節は、世界とは何かを説明しています
ヨガ哲学によると
世界は、目的なしには働きません
<見るもの>=私たちの<魂(プルシャ、真我)>に
経験の機会を与え
私たちが自分自身の本来の姿を認識する(解脱)ために存在する
と解されています
「世界とは、自分自身を意識として認識するために
必要な稽古が演じられる舞台のようなものである。
この稽古が経験と呼ばれるものであり、
圧倒的に楽しいというわけではないが、
快楽と苦の両方を適度な割合で持ち、
やがて私たちが両方を越えられるように助けてくれる」
「世界は世界のために存在しているのではなく、
意識を認識するため存在している」
「経験とは、快楽と苦悩の経験を意味し、
束縛とも呼ばれる」
「一定量の経験をすれば
わたしたちは
経験された一時的なものと自分は
異なる存在ということに気がつく。
そして、自分は永遠で不変の存在に属する唯一つのもの、
すなわち意識であると認識するのである」
〜現代人のためのヨーガ・スートラ
グレゴール・メーレ著
ガイアブックス発行
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やや難しいかもしれませんが
ヨガのバイブルといわれるヨーガ・スートラの
最も大切な部分をお届けしました
変化してやまない世界は
苦しみの源ではありますが
わたしたちを力強く成長させ
本質に気づかせるためにこそ
世界は存在している
そしてヨガは
万物流転の現象界という荒波を
上手に乗り超えてゆく智慧なんですね
どうかこの投稿が
誰かを勇気づけてくれますように…
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