
今日は立春ですね
冬の陰気に閉ざされた万物に
春の陽気が立ちはじめる日
陰気の強い闇に
やわらかな光がさす瞬間ほど
この世で美しいものはありません
…………………………
雨雲が去って、太陽の光が水滴を照らすとき
厚い雲の切れ間から、朝日が放射されるとき
闇夜に月が昇り、冴えた光を放つとき
頑なに閉ざされた人の心が、やわらかく開くとき
暗闇のトンネルの向こうに、変化の兆しをみいだすとき
…………………………
<陰極まれば陽に転ず>
この反転、逆転こそ
陰と陽を持つこの世の不思議さを
象徴しています
…………………………
わが家の緋寒桜(ヒカンザクラ)も
ちょうど今朝、満開をむかえました
気温がぐーんと下がらないと開花しない緋寒桜
ある程度の寒さを経験しないと咲かないため
気温が低い北部から開花して
南部にある我が家は
県内でもかなり遅咲きなほう
沖縄の桜前線は南下するんですね
いったん休眠に入った花芽が
一定の低温にさらされて休眠から目覚めることを
<休眠打破>
というそうですが
ここにも
<陰極まりて陽へ転ずる>姿
見つけました
寒さを経ないと咲かない桜のように
サナギにならないと羽化しない蝶のように
人も
闇(やみ)を経験しないと光を知ることはできない
闇とは、挫折や悲しみ、耐えがたいほどつらい体験
陰を通り抜けてはじめて
自分の本質
魂を発見するのかもしれません
ご存知でしたか?
サナギになったとき、
彼らの体は一度溶けて
ドロドロの液体になるにもかかわらず
成虫となったとき
自分たちがイモムシだったときのことを覚えているそうです
<心の安定は、悲しみを超えた輝く光を知覚することでも得られる>
ヨーガ・スートラ 1章36節
万物にひそむ陰と陽は
人を魂の発見へと向かわせる導き手
そんな風に思いました
…………………………
陰から陽への鮮やかな反転を描いた物語
「レ・ミゼラブル(ああ無情)」が大好きです
闇の人生を歩いていた主人公は
たまたま出会った司教の男性に
<許し>と<信頼>という
光のエネルギーを受け取ったことをきっかけに
陰の人生を陽へと反転させてゆきます
最後は燦然と輝く光のような愛をこの世に贈って
生命という一瞬のきらめきを力強く生き抜いて
一生を終えます
まさに陰と陽が織りなす自己変容のプロセスですね
ミュージカルの映画版、お勧めです♬
最後に…
陽に陰がさす瞬間も、ありますね
こちらのほうが、複雑かもしれません
善なるものが肥大化しすぎて
陽が極まったとき
その観念や組織に陰りが見えてきます
傲慢さ、排他、独善
一見非の打ちどころのない正義をかざす内側に
そんな陰なるものが混ざり始めたとき
崩壊の兆し
ただ当事者は
「善」や「正義」といった理念を身につけているので
内側に生じる陰の存在に気づきにくく
歴史上の悲劇のほとんどは
「善」や「正義」を果たそうとする意思から生じた
という教訓が重みをもちます
創造→維持→破壊を司るヨガの主神シヴァが躍るとき
世界はプラクリティの力でエネルギッシュに動き出す
インド神話で語り継がれているシヴァのエネルギーは
破壊の先に<再生>をみすえています
最後まで読んでくださり
ありがとうございました
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