「心の安定は
悲しみを超えた輝く光を
知覚することでも得られる」
ヨーガ・スートラ 1章36節
とても苦しかった頃、
わたしにとって月は、<悲しみを超えた輝く光>でした。
月と太陽
陰と陽
先週のプライベート・ヨガセラピーで、
生徒さんとこのテーマで会話が深まり、
久しぶりに、<月との出逢い>を思い出しました。
みなさんは、月と個人的な関係を結んでいますか?
わたしも小さな頃は、星や月を眺めるのが大好きで、
拾ったガラスの破片を星のカケラと信じて収集する風変わりな子でした。
でも物心ついてからは、社会に過剰適応して知性ばかり磨き、
すっかり本来の自分から遠ざかってしまいました。
月と再び出逢うまで、ずいぶん人生を遠回りしました。
目の前の現実が苦しいとき、
静かに心の空を眺めて、そこを支配している<感情>はどんな感じですか?
怒り
焦り
不安
恐怖ですか?
私の場合は、<疎外感>でした。
何年も前、一番つらかったとき、寂しい気持ちでいっぱいでした。
外の世界でその寂しさを埋めてくれるものは、見つかりませんでした。
そんなときに出逢ったのが月。
久しぶりの夜の散歩。
東の空の雲が切れて月が現れ、ひっそりと冴えわたる月を見つけて、
「かえりたい」
そう思いました。
特に女性は月を見て、「かえりたい」と思う人がいるようです。
それから毎晩の月夜の散歩が始まりました。
帰りたいという切ない衝動的な思いは、だんだんしずまって
月に語りかけられているような不思議な感覚が日ごとに深まっていきました。
月との対話は、言葉はなくただ感じるだけ。
心を静めないと受けとめられない小さな感覚。
直観を研ぎ澄ませて、
心の海の底に眠る<本当の自分>との対話のように。
月との関係を紡いでいくうちに、いつの間にか寂しさはなくなり
心は安らぎで満たされました。
陰と陽
直観と思考
感性と知性
気づきと意思
受容と行動
月と太陽
私の半生は、陽、思考、知性、意思、行動、太陽に傾き過ぎていたようです。
<本来の自分>との関係を粗末にして、表面的な部分だけを発展させて
<自己不一致>が極限まできていました。
そんな<不調和>に気づかせてくれたのが、心の<苦しさ>でした。
苦しい気持ち
何かが違うという違和感
変わりたいと願う強い気持ち
それが
欠けていた陰との世界、月との世界を思い出させる
きっかけになってくれました。
肯定的なものも、否定的なものも
心に突き刺さっている過去の記憶も
心地よくない苦手な感情も
すべてをあるがままに味わい尽くしたとき
古い痛みを受容する大らかさが生まれ、
胸(ハート)のあたりがあたたかくなって
自己受容への一歩をふみだせました。
拒絶していた自分の影を受け入れ、<自己不一致>から<自己一致>へ。
二極(陰陽、善悪、損得など)の対立を超えて、すべてを統合する意識の光へ。
人生の舵を切ることを教えてくれたのは、夜空の月です。
あなたが苦しいとき
現実の世界の何ものも
あなたの苦しさをやわらげてくれないと感じたら
夜空の月を見上げてみてください。
きっと月があなたに、語りかけてくるでしょう。
この投稿が誰かを勇気づけてくれますように…
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